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​第14装甲軍団 主計官の資料から迫るイタリア戦線の補給事情

本ページにおいては、1944年3月に書かれた第14装甲軍団 XIV. Panzerkorpsの上級主計官Oberstabsintendant Herrmannが実施した講義の資料から1944年のイタリア戦線の補給事情が垣間見えるので紹介する。

​以下に、その資料と和訳を投稿する。

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写し

兵員の行政的補給

I.

前線で戦闘に立つ兵士、指揮幕僚、補給部隊――これらすべてが必要とするものを、いくつかの語で挙げるだけでも、被服と靴、食糧と金銭、剃刀の刃、筆記用紙とポケットナイフ、照明資材、石鹸、紅茶がある。
われわれは、この需要を「維持需要」と呼び、従来これを次のように区分している。

a) 被服および装備
b) 食糧
c) 食糧の一部門としての酒保品
d) 宿営
e) 金融・会計

II.

1)
この区分に対応して、陸軍の調達および取得機構もまた構成されている。
被服および装備は、各品目の調達と改良発展に関する限り、陸軍総司令部(AHA)の一部局によって処理される。
これに対し、原材料は民需部門から供給される。

食糧の調達および各種食糧の改良発展は陸軍管理局の任務であり、同局はまた、ヒンデンブルク灯から完成した宿営兵舎に至るまで、宿営所要品の整備についても責任を負っている。
酒保品もまた陸軍管理局によって供給されるが、金銭需要の調達については、なおABAもこれに関与している。

2)
OKHによって準備されるべき維持需要品の製造は、大部分が民間企業によって行われる。
周知のとおり、陸軍管理の分野では、兵器や弾薬の種類においてしばしば見られるような秘密保持を必要とする事項は、ほとんど存在しない。

ただし被服の分野においてのみ、より大きな範囲で、陸軍所属工場、すなわち陸軍被服廠において製造を行うことができる。

支払手段の製造は、当然ながら各種の発券銀行によって行われる。

3)
製造のための原材料は、本国ならびに同盟国または占領地の保有資源から供給される。
後二者については、国家間協定または割当によって一定の納入が定められており、それらは部隊需要にも民需にも充てられる。

利用可能な原材料および基礎製品の量を決定することは、全補給を統制する責任者および当局にとって、最も重要かつ最上位の任務である。
というのも、戦闘部隊に提供しうる補給量は、これにかかっているからである。

戦争第5年に入り、さらに敵のテロ空襲によって本国で多大な破壊が生じているため、民需部門の需要は当然ながらきわめて大きな比重を占める。
そのうえ、もはやどの地域にも、四方八方から相当な需要が寄せられない場所は存在しない。
この限られた備蓄状況は、関係者全員が考慮しなければならない。
その最も顕著な例は、おそらく国防軍部門における肉配給であろう。
開戦当初には、1人1日あたり250グラムの支給基準に加え、夕食用として予定されたソーセージ分があったのに対し、今日では兵士に対して、ソーセージ分を含めてなお1日約140グラムの肉製品しか支給できなくなっている。

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— 2 —

4) 本国における備蓄管理は、被服および装備については陸軍被服廠によって行われる。
食糧および酒保品については、HWV(陸軍糧秣倉庫)が前線補給の集積所となる。
これらはまず第一に陸軍糧秣本部に属するものであり、この目的のため、接収または没収された倉庫施設によって大幅に拡張されている。

ここで私は、HWVにおける備蓄規模について皆様が直接の印象を得られるよう、いくつかの写真を回覧してよいと思う。
(写真1~9)

宿営に必要な物資は、たいてい陸軍駐屯地管理部に付属する特設の保管所に備蓄されている。

支給に回される金銭は、当該国の発券銀行の金庫、または、それがRKK紙幣あるいは代用貨幣である場合には帝国銀行の金庫から出される。

III.

1) 野戦軍に対する、上述のすべての維持物資の補給は、OKHの兵站総監およびそれに付属する陸軍主計官によって行われる。

2) 前線が特に遠距離にある場合、たとえばロシア戦線で見られたように、O.Qu. はいわゆる**「兵站総監外部支所」を設け、その倉庫から軍集団倉庫が補給を受けた。
軍集団はさらに軍を補給する。
師団は軍の在庫から必要量を受ける一方で、軍団はたいてい独自の倉庫を持たず、単なる分配機関として機能する。
師団は、一般兵にとってもなお理解可能な近い存在にある機関である。
したがって師団は、給養の分野では独自の倉庫を持つだけでなく、製パン中隊や屠殺中隊**のような独自の生産・加工部隊も有している。

師団では、個々の経理補給部隊が受領する。ここでいうのは、いわば主要需要部隊のことである。
それは主計官を持つ部隊、すなわち通常は大隊、例外的には中隊である。

さらに大隊から中隊などが補給を受け、そこから初めて「兵員の維持需要」が兵個人へ届くのである。

3) 各機関が通常見込む数量について、いくつかの目安を述べる。

軍集団の下にいる大口消費部隊への補給における最小単位は小隊である。
ここでいくつか数字を挙げたい。
HDV 6g ) 90 S.39

軍では、場合によってはさらにその下、師団を含むところまで、トンで計算するが、そこから先はポーション、 ration、個数、袋で計算する。

4) 輸送手段は、上に述べた数量から自ずと定まる。
すなわち、軍集団に至るまでは、鉄道・海上輸送・内陸船舶輸送のみが問題となる。
これに対し軍集団自身は、すでにしばしば大型輸送隊やより小規模の縦列を運用する。
軍は自動車中隊によって活動し、師団、すなわちわれわれの場合にはすべて、師団主計官はその管理部隊所属の個々のトラックを保有している。
たとえば給養中隊――最近では給養部と呼ばれる――では、およそ30トンである。
部隊そのものは、輜重隊の中にある少数のトラックしか持たず、歩兵師団の中隊は通常、もはや自動車化された輸送縦列を保有していない。
したがって、これら中隊は中隊から兵個人への配分にあたって、鹵獲車両または担送者・駄載動物を利用する。

したがって諸官も、個々の輸送手段の喪失が敵の作用によって補給全般の状況にどれほど大きく影響しうるかを、お分かりいただけるであろう。

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— 3 —

以上で、私の担当分野における補給の大枠をお示しし、次に各論に移る。
ここでは被服と給養に限定して述べる。

IV

1)
まず簡単に被服について述べる。
ここでは実にさまざまな種類の欠乏に直面することになる。
特に繰り返し苦情が出るのは、靴と靴下に関するものである。
しかし同様に、たとえば飯盒、水筒、飲料カップについても欠乏がある。
また同じく、靴手入れ用品や各種修理資材の補給が少ないことについても苦情が出るであろう。

2)
諸君、私は先ほど、今日すでに戦争第5年において一般化している欠乏状況について述べた。
これは、とりわけ今述べた被服および装備の分野において特に著しい。
どうか念頭に置いていただきたいのは、われわれはもはや綿花をまったく保有していないということである。
またウール在庫についても、相当割合において不足しており、これを大量に回すことはもはや不可能である。
確かに、われわれが合成繊維の分野で非常に大きな成果を挙げていることは事実である。
合成繊維は、いくつかの点では天然繊維を凌駕する。
しかしそれでもなお、そして戦時下における消耗増大によってさらに拍車がかかり、節約、材料不足の理由から、多くの分野でかなり目立つ欠乏が存在する。
これは特に履物について著しい。
イタリアの鹵獲品、とりわけ靴を使用せざるを得ないこと、またアルミニウム不足もある。

したがってお願いしたいのは、部隊に対して、装備資材の意義、価値、手入れについての理解を深めることに協力していただくことである。
その際、本国がこれら物資を乏しい供給の中から部隊のために捻出するために払っている甚大な犠牲を指摘していただきたい。

また、「陽光の南方」に対しても、たとえ最初は緩慢で、上級機関に対する少なからぬ努力を要したとはいえ、被服および装備としていくつかの冬季向け物資を支給することに成功した。
イタリア戦線を、オレンジや葡萄畑の広がる戦域としてしか見てこなかった向きに対して、ようやくそれを実現したのである。
ここで指摘したいのは、残念ながら大部分が簡易な白色品ではあるが、冬季高山地帯用としてイタリア鹵獲品在庫から提供された防風服である。
さらに、ドイツ製登山靴についても言及したい。
これは、カッシーノ正面から北方の高山地帯に投入された各部隊に対し、第15装甲擲弾兵師団からガエータ湾方面に配置された各師団に至るまで、かなりの数が支給されたが、それでもなお一部にしか行き渡らなかった。
これは、ドイツ国内に存在した陸軍の全在庫であり、そのすべてがわが軍団に支給されたものである。

総数7,500足。
ただしそのうち1,700足は、残念ながら50番以上の不適合サイズであった。

V

A)1)
この給養の節の冒頭で、諸君には、本国で一般消費者に支給されている給養基準と、われわれがここで受けている給養基準とを比較して示したい。

ここで扱うのは週間基準量である。

品目     本国               イタリア

パン     2800g               4000g

肉      200g                  900g

脂肪          200g                                       255g

ジャム        175g                                       300g

砂糖          200g                                        350g

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— 4 —

すべての食料品を列挙すると際限がない。
しかし、この比較だけでも、前線が本国よりどれほどはるかに多くを受け取っているかを、すでに十分見て取ることができる。

2)
本国における一般的な食糧事情は、補給線の長大化、縦列輸送の増大、および敵航空兵力によって生じる輸送困難とは別に、当該部隊が所在する現地の徹底的利用を強いている。
ここで私は若干の数値をお伝えしたいが、これは諸君個人の参考用に限られ、転達用ではない。

3)
兵員の給養は、可能な限り、1日1回の定期的な温食支給を基礎として行われなければならない。
その理想的な形は、野戦炊事班から温かい料理を支給することである。
現在とりわけ不利に作用しているのは、生ジャガイモの欠乏と生鮮野菜の欠乏であり、いずれも季節的事情によるものである。
これまでこの二つの給養品のほかに、ビタミン供給源としてオレンジもまた非常に大量に利用できていた。
われわれは昨年11月から12月以来、フォンディおよびフォルミア地域で合計およそ12,000トンのオレンジを収穫することができた。
そのうち約3,000~4,000トンは民間住民によって消費されたとみられるので、なお8,000トンが残り、これを継続的に兵員へ供給することができた。

4)
諸君、給養において最も重視されねばならないのは、適切な調理、食味の良さ、そして十分な変化である。
給養量そのものは配給基準によって定められている。
例外事項については後で述べる。
しかし食味の良否は調理の問題である。
このため、各野戦炊事班には特別に教育された野戦炊事下士官が配置されている。
さらに各軍団には、計画上、野戦炊事教育班が置かれており、その名のとおり、料理の適正な調製に不断に配慮すべき任務を負っている。
その上、責任感あるすべての部隊指揮官、すべての主計官、そしてすべての衛生将校も、野戦炊事班の任務に継続的に特別の注意を払わなければならない。

われわれすべて、とりわけ主計関係者は、自らの任務、すなわち前線で銃を手にし生命を賭している兵士のために尽くすという高い責務を、可能な限り高い水準で果たさなければならない。
この目的のために、各野戦炊事班に計画的に配布されている野戦炊事教範がある。
これには野戦炊事に関する知るべき事項がすべて収められている。
1941年版の分量を1938年版と比較しただけでも、適正な給養調理にどれほど努力が払われているかがわかる。
この規程の特別版として、温食用の野戦炊事書がある。
未配備であれば、これを請求するよう働きかけていただきたい。
さらに、OKH発行の**『グーラッシュ砲』**という野戦炊事兵向け雑誌も継続刊行されている。
これは、個々の野戦炊事兵の実務経験から多くの示唆を与える、きわめて優れた雑誌である。
これも未配備であれば請求されるよう配慮願いたい。

5)
野戦炊事班から兵士個人まで給養を輸送することの重要性は、しばしば過小評価されている。
どれほど良い給養でも、ここで注意深く処置しなければ、到着時には台無しになり、食べられなくなることがある。
したがって、配食容器は完全に清潔でなければならない。
料理を入れる際、それらをあらかじめもう一度水でゆすいではならない。
乾いた状態で充填しなければならない。

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— 5 —

さらに注意すべきは、配食容器を満たしておくこと、すなわち、できるだけ空気――酸素――を含ませないことである。
そうすれば食物が酸敗しにくくなる。
空気の侵入は、容器を密閉することによって防がなければならない。
輸送時間が長い場合には、保温を良くするために、配食容器をさらに藁や毛布で包むことが望ましい。

それでもなお、調理済み給食が冷えた状態、あるいは酸敗した状態で兵のもとへ届くことを完全には避けられない。
冷えた給食は再加熱できるが、酸敗した給食は、もはや駄目である。
酸敗の原因は、多くの場合、前線の兵が飯盒を洗浄する機会を持たないことにもある。
山地では水が不足しており、兵に支給されるわずかなコーヒーも、すべて飲料配給として必要である。
そのため、飯盒を「すすぐ」ために残るものは、ほとんどない。
したがって、子どもが時に皿の食べ残しを舐め取るようなやり方で、皿から食べ物をできるだけきれいに取り除くしかない。
これをしないと、古い食べ残しが、新たに飯盒へ入れられた食事をかなり短時間で傷めてしまう。

6)
夕食の輸送については、ここでも守るべき清潔保持の原則以外に、特に付言すべきことはない。

これによって、次に

特別給養および加給

へ移る。

B. 1)
まず、21歳までの青年兵に対する給養加給が一般的に存在する。
さらに、部隊軍医の命令による給養加給もある。
さらに、部隊軍医の命令による給養加給があり、両者の場合とも、1日につきパン100gまで、また1週間につきジャムまたは人工蜂蜜150gまでが支給される。

また、温食を受けられない、または不規則にしか受けられない戦闘中の部隊に対しては、冷たい夕食の半量に相当する加給がある。
これに加えて、在庫状況に応じて、チョコレートまたは高級糖菓、ブドウ糖、デクストロ・エネルゲン、デクストロ・プールなどが支給される。
これらの加給は、現在、定期的に認められている。
さらに、残念ながら量は少ないが、歩兵向けのいわゆる大型戦闘糧食包がある。

標高1200mを超える高山地帯の部隊には、さらにいわゆる高地加給がある。
すなわち、第2飲料配給、および前述のようなチョコレートまたは糖菓の配給、あるいは在庫があれば、Keka、乾燥果物、レモン果汁粉末などの同様の強壮食品である。
この種の加給の最後のものとして、1人1日50gの肉加給を挙げるべきである。
これも最近、大規模かつ継続的に、ただし毎回期限付きではあったが、OKHによって特別申請なしに認可されていた。
この関連では、完全に孤立した部隊向けの他の加給については、ここでは触れる必要はない。

2)
先ほど述べたように、あらゆる措置を講じてもなお、野戦炊事で調理された給食が兵のもとへ食べられる状態で届かない場合、または極度に限られた容積と重量の範囲で給養をまとめなければならないが、それでも最前線の個々の兵士自身が調理できるように計算されていなければならない場合を、常に想定しておく必要がある。
その一つが混合缶詰であり、もう一つが高山地帯特別給養である。

混合缶詰には、調理済みかつ味付け済みの、非常に美味な肉入り煮込み料理が数種の変化をもって封入されている。
それは大型の肉缶詰缶ほどの大きさの缶に、1人分として収められている。
この缶詰はアルコールコンロで温められ、十分な昼食となる。
この缶詰を、たとえ徐々にではあったが、きわめて大量に、わが兵士たちに

— 6 —

とりわけ困難な条件下に投入されている部隊に支給するものである。
2月には93,500食分、3月には364トンが支給された。
なお、ここでは1トン=1,000食分として換算されている。

しかしながら、肉缶詰は任意の量だけ自由に利用できるわけではない。
それでも軍は、軍団の要求について、1日あたり約15,000食分までなら充足できると考えている。

3)
高山地帯特別食は、われわれが知る限りで最も高価値の給養である。
その栄養価は4,500キロカロリーに達し、Uボート乗員の給養すら上回っている。
残念ながら、これはなお試験段階にある。
OKHによる試験が現在当地で行われており、200食分が第3高地山岳猟兵大隊および帝国擲弾兵師団ホッホ・ウント・ドイチュマイスターの戦闘部隊に対して、見本的な最終試験として供される予定である。
その後、本格的な納入はおよそ4分の1年後に見込まれる。

この給養は、必要な加給品を含め、兵1名分ごとに区分され、整然と大きな紙袋に包装されている。
(添付の内容構成参照。給養期間および調理法の詳細は別途説明済み。)

重点形成を行い、決して単純に人数割で配分してはならない。
担送者および駄載動物の取扱者は優先して給養しなければならない。
部隊長が全員を公平に扱おうとするなら、こうした者を優先して補給すべきである。
より多く働く者は、より多く食べるべきである。

諸君、とりわけ給養の分野において、一般的な状況についての見通しを諸君に与えることが試みられたのである。
それによって、個々にどのような可能性と困難が存在するかを理解してもらい、また兵に対する配慮のために、人々がたゆまず、しかも成果を伴って努力しているという確信を抱いてもらうことが意図された。

同時にまた、諸君の職務のための実務上の指針を与えることも意図されていた。

署名
ヘルマン
(1944年3月18日)

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