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自宅で行えるリエナクトメントの準備
昨今の新型コロナウイルスの情勢下、皆様いかがお過ごしでしょうか。緊急事態宣言に伴う外出自粛、大規模イベント開催自粛等に際し、「自宅でも行えるリエナクトメントのための準備」と題し当団体が翻訳・抜粋した各個教練動作を紹介致します。 教範・副読本等から抜粋し、当団体においていくつか注釈をつけております。 ぜひご活用ください。
なお一部は軍と動作を同じにする組織の教範からも参考のため画像を引用しております。
また、発音の参考のため人工音声にて号令を読み上げたものを付属させております。軍隊の号令の発音通りにとはいきませんが、御参考下さい。
号令:各個教練においては各個人及び部隊はすべて単一の動作をする。
すべての移動は号令によって行われる。
各個教練
徒手教練
Stillgestanden! 気を付け
手は手首と指先を大腿につける。
かかとをつけ両足で立つ。
両つま先は完全な直角にならない程度に外側に開く。体重は両足の踵と指の付け根にかけて一様にかける。
両膝は軽く伸ばす。
上体は真っ直ぐに伸ばし。胸を軽く前へ張る。
両肩は同じ高さにそろえる。
肩をすくめてはならない。
腕は下に伸ばし、ひじは適度に前へ出す。
指は閉じる。
中指をズボンの縫い目にそって合わせ、親指は手の内側に入れ人差し指とそろえる。
この号令がかかったならば個人は不動の姿勢を保たなければならない。
休憩することなくその姿勢を保たなければならない。
不動の姿勢一つで部隊の規律を左右する。
正
Rührt Euch! 休め
誤
この号令がかかったならば各人は左足をつぎ出す。
各人は少量の動作ならば許可されるが私語は許可されない。
この号令は文字通り休むことだが同時にこの号令はつぎに新しい号令が来ることを意味する。
従って各人は厳格に次の号令に反応できるようにせねばならない。
右足(左足)のかかとを軸に回転し、左足はその膨らんだ部分で回る。向きを変えたら、左足を右足の隣に、気を付けの状態に持ってくる。一連の動作に区切りを入れず一つの動作として行うこと。下記の図を参考にせよ。
Rechts (links) — um! 右(左)向け右(左)
Ganze Abteilung — kehrt! まわれ左
回りで左足を軸に右足の膨らんだ部分と共に 180 度回転する。
向きを変えた後、足を気を付けの状態に持ってくる。
Ganze Abteilung — Front! 全隊-正面!
この号令は部隊員を各員の向きに関係なく正面を向けさせるために使用される。 号令がかかったなら停止、及び回転後に良い姿勢を保つことに留意しながら正面を向く。
行進
行進は通常三種類に分類される。
道足行進(歩調を取らない行進) Ohne Tritt 速足行進(通常の行進) Im'Gleichschritt
パレード行進(グースステップ)Exerziermarschである。
道足ー進め! Ohne Tritt — Marsch!
両足のどちらからでも行進を始めることができる。もしも自分が伏せている状態であっても Ohne Trittと号令が掛かったならば立ち上がり行進を開始する。
歩調を取らない行進なので個々人の体格と地形によってその速度が変化する。従って前進
速度を落としてはならない。腕を容易に振れるようにし、良い姿勢を維持すること。
道足行進Ohne Trittから速足行進 Im'Gleichschritt への移行は速足!Im'Gleichschritt! の号令によって行われる。
パレード行進Exerziermarsch への移行は速足!注意!Im Gleichschritt! Achtung ! の号令によって行われる。
速足ー進め! Im Gleichschritt — Marsch!
この号令は左足から始まる。足は約 80cm の間隔で毎分 114 歩の速度で行進する。まっすぐな姿勢、特に目線に留意する。規律ある行進は軍の規律が要求される。規律ある行進は力の結束を促進する。したがって時として行進は軍隊の結束を試す際に用いられる。従って大規模なパレードは国威発揚の場になる。
部隊―進め!Abteilung — Marsch!
左足を軽く曲げ下腿を垂直に垂れ足先は外方向を向く。つぎに下腿を上腿と共に直線に伸ばし同時に上体の重量を前方にかけ左足は平らに右足より 80cm 前に出し地上に着ける。このとき体の重量は左足にかける。左足を地に着ける間において右腿を地上より話し右足は軽く曲げて足先を地に着けることなく引きつけその後に左足を地面に踏みつける。この方法を持って各員は前進を続行する。各員は直線上に肩の位置を垂直にして前方に動く。
部隊―とまれ! Abteilung — halt!
歩調を取りつつあるときは右足の地に着く際に動令をかけ行進は左足で終わる。みち足の行進の祭は Halt の号令の後に
1歩進みその後に後ろ足を引きつけ止まる。
速足―進め! Im Laufschritt — Marsch!
この号令にて各員は両前腕を軽く体に接して後腕と直角になすが如く惹きつけ手は親指上方にして軽く握り内方に向ける。動令にて左足より自由に走る。足は平らに地上を圧し膝は軽く曲げ、腕は僅かに前後に振動する。歩幅は地形により 75 または 90cm としし速度は1分間に 170 または 180 歩とする。歩調なく前進する際にあってはこの号令の前に 速足Im Gleichschrittの号令をかけ歩調を取らせる。部隊―とまれ! Abteilung — halt! が掛かったならば各員は3歩の後に停止する。Im Gleichschritt が掛かったならば各員は3歩目にて歩調行進を行う。
進め進め!Marsch — Marsch!
この号令にて各員はその足の許す限りの速度で走るものとする。次の動作に移る際は一度歩調を取らせてから行うこと。
敬礼規定
1 階級と年齢 (兵士にとって最も重要な規則)
1.上級者(自分より階級が上の軍人) 陸軍、海軍、空軍のすべての将校及び下士官そして退役軍人は陸海空軍全ての新兵の上級 者である。 従って、彼らには命令を出す権限がある。
2.各個に指名される役職 各部隊の長、部屋長、当直下士官、当直士官などの役職につく者はその受け持つ業務また 関連する業務に対してのみ権限を持つ。これらに当たる人物を軍事用語で「Zeitweilige Vorgesetzter(直訳で一時的な上官)」という。 階級が低い者でもなんらかの役職に就くことはある。例えば歩哨の長や偵察任務における 長や自分の上官が撃たれ自分が部隊の指揮を執る場合などである。
3.自分より高齢の文民職員 以下の規則は軍人の文民職員に対して敬礼する義務を変更する物ではない。
a)年功序列の一般的な関係は軍隊においては存在しない
b)ただし兵士は文民職員が法律によって義務づけられている命令を下す場合は従わなけれ ばならない。
c) 兵士が勤務に当たっている際は将校に相当する制服を着用した文官、国防軍の軍属、 他の部隊の士官、警察官などが助けを求めている場合は可能な限り援助せよ。
2 上級者に対する態度
これは国防軍に入隊する前でも同じである。すべての人間は他の個人に向けて敬意を表す る。例えば自分の親や担任の先生、学校職員などに対してである。
彼らに対する態度のよ うに兵士を一人前にしようと行動している上級者の軍人に対しても振る舞わなければなら ない。軍隊における上級者も同じなのである。彼らは兵士を訓練し指導する立場の人間と して兵士の両親が始めた作業を引き継いでいるのである。
彼らは兵士を一人前の男に仕立 て上げ立派な1ドイツ国民になれるようにしている。
その為にも兵士は以下の原則を遵守せよ!
Ⅰ 謙虚な姿勢と自制心を持って行動せよ!
例1.上級者が他の兵士と話している場合や、忙しそうにしている場合はそれを邪魔する ような行動を取ったり話しかけたりしてはならない。その代わりに、自分が上級者を待っ ている事を何らかの形で示さなければならない。
2.自分が話したいと思っている上級者がより階級が上の人と話をしている場合は話しかけ る許可を求めなければならない。
例「大尉殿!ミュラー曹長殿と話してもよろしいでしょ うか?」
3.自分たちの宴会やその他の機会において上級者を招いてはならない、また上級者より先 に飲み物に手を着けてはならない。 上級者が自分に対して乾杯をしてきたならば立ち上がり乾杯をした後に飲むこと。 「乾杯!」と大きな声で叫んだり、グラスをカチンと鳴らすなどの民間の宴会における風 習を行ってはならない。
4.部下は常に上級者の左を歩かなければならない。もしも上級者が馬に乗っている場合な どは後にとどまり上級者が前にいる状態でなければならない。
5.上級者と会話する際は上級者の話の腰を折ってはならない。自分の意見を主張しすぎて はならない。
6.全てにおいて良い兵士とは規則を守り、思いやりを持ち、良い敬礼を行う。過度の敬礼 と謙ったような態度はかえって無礼である。上級者の機嫌を取ろうとしてはならない。し かしこれは部下が任務を達成することが困難な祭に信頼ができる上級者や古参の兵士に対 して助けを求めることを妨げる者ではない。彼らはどのような状況においても部下を助け ることを望んでおり、実際に助けることも出来るのだ。
Ⅱ 軍隊式の喋り方
1.大きく明瞭な声で話すこと。意味不明な言葉や長文、またはドイツ語において該当する 言葉があるにも関わらず外来語を使用することなどは避けよ。
2「Ja(はい)」ではなく「Jawohl!(了解しました!)」を 「Bitte schön(お願いします)」ではなく、Stillstehen の姿勢を 上級者に対して喋るときは語尾に「Herr 階級名」(~殿)とつけよ。
上級者から話かけられ返事をする場合は「Ja?(はい?)」と返事するのではなく相手の階 級名で返事をせよ。例「Herr UnterOffizier?(伍長殿?) 「休め」の号令が掛かっている際においてもむやみに手を動かしたり、自身の言葉を強調 するようなしゃべり方をしてはならない。
Ⅲ 上級者が部屋に入ってきたときの態度
1.「Achtung!(気をつけ!)」もしくは「Aufstehen!(気をつけ又は起床)」と叫ぶ。気を つけの姿勢を保ち、上級者の方に顔を向けておく。
2.その部屋の長の者が報告を行う。例えば「第35号室 伍長以下10名異常なし!」
3. 全ての任務中の兵士は自分自身の現在の任務を答える。例「ミュラー上等兵 兵営業 務を遂行中であります!」 その後上級者は「続けたまえ」と号令をするので各人は 自分の動作を続ける。ただし不適切な騒音 例えば笛を鳴らしたり議論するようなこ とは避ける。
4.上級者が退室する際も1項目に準ずる。ただし、退出する際に通るドアをあけ邪魔 にならないようにする。
Ⅳ 上級者と会う際の態度 (出入り口や階段などにおいて)
1.道を譲る。
2.何人かの兵士と行動を共にしている場合は「Achtung!」と叫ぶ。
3.もしも上級者が道をふさいでいるような場合は、道を通る許可を求めなければならない。
例「軍曹殿!通ってもよろしいでしょうか!」
もしも複数の上級者と一緒にいるのであれば、階級が高い方に許可を求めよ。
Ⅴ 他部隊の周囲を通る際の態度
1.不適切な騒音(笛を吹いたり大声など)は避けよ。
2 .部隊と適切な距離を保って通過せよ。
3.指揮官と部隊の間を通ったり部隊と部隊の間を通ってはならない。
4.部隊員は指揮官の許可なく会話してはならない。 動作を行うときは上級者に要請をせよ。
例 「軍曹殿 M 軍曹殿から武器庫の鍵を受領してきてもよろしいでしょうか?」
Ⅵ 命令を下された際の態度
1.別名なく命令は復唱せよ、復唱は指揮官が部下が命令を理解しているかを確認する唯一 の手段である。
2. 命令通りに実行する(独立性を持って行動すること) 例 厩舎に送られた兵士が軍曹を発見することができなかった場合
誤 上級者に対して「M 軍曹殿は厩舎にいらっしゃいませんでした!」
正 M 軍曹の足取りを追い、発見した後に報告をする。 「M 軍曹殿を給湯室にて発見し、下士官会議の場所が変更になった旨をお伝えしまし た!」
3.ある命令を遂行中に異なる命令が付与された場合
例 状況:厩舎において任務を遂行中に士官にある部屋の鍵を大至急持ってきて欲しいと命令さ れた。
誤 「任務遂行中のためできません」
正 「現在任務遂行中であります!」 原則として優先されるのは最後に発せられた命令である。ただし兵士は最初に命令を発し た人物に対してその旨を伝えなければらない。 ※訳者注 一度現在ほかの任務があることを上級者に知らせその上で指示を仰ぐのだと思 われる。
4.現在の任務を答える場合
誤 「命令を遂行中であります!」 正 「現在、砲撃規定書を軍曹 B 殿に渡すという任務を遂行中であります!」
Ⅶ 上級者補助義務
上級者のコートを持ったり、ライトを守ったり、落とした者を拾ったり、公共交通機関や 各種の店などにおいて荷物を運搬をするなど上級者を補助する行動をしなければならな い。
上級者が馬に乗り降りする場合は馬の右側に立ち、馬を支えなければならない。 右手で馬の頬の紐を、左手でしっかりと革の鞍を支える。
Ⅷ 上級者の部屋へ入室する際の態度
1.容儀を整えよ。(部屋に入る前に Feldbluse をまっすぐに伸ばす事に留意せよ)
2.可能であれば、自身がなぜここに来たのかの理由を述べよ。
3.帽子は脱げ
4.上級者がタバコなどを欲しがっている場合は臆することなくすぐに渡すこと。
5.上級者が立ち上がったのであれば、自分も同様に立ち上がること。
6.退出する際は再度不動の姿勢を取るが、頭は向けない。またドアは素早く閉める。
Ⅹ 特例事項
1.上級者が部下に対して手を差しのばすとき(例えば部下に対して誕生日の祝いを述べる 際や表彰を行う際など)は不動の姿勢を取れ。お辞儀をしてはならない。
2.”一時的な上級者”に対しても普段の上級者と同様良好な態度を取ること、これは義務 である。
3.上級者が民間人の服装を身につけていても同じ規則が適用される。
主要参考文献
Heinz Denckler(1934),Exerzieren und Kommandieren,Berlin,Heinz Denckler Verlag pp,3-9.
Oberleutnant Weber(1936)Der Rekrut,Berlin,Verlag Offene Worte,pp,31-35.